#05.構造設計共通

ディテールから考える構造デザイン

接合部設計が建築の質を決める。著名建築家と協働する構造家の設計手法を初公開。代表作41事例の写真・詳細図・スケッチで、一般的な技術を洗練させる秘訣を詳解。構造・意匠設計者必携。

ヒント

建築の質は「接合部」で決まる―トップ構造家の思考と技術

本書は、住宅から公共建築まで、多くの著名建築家から厚い信頼を寄せられる構造家の設計手法に、初めて深く迫る一冊です。「接合部の設計が、構造計画の質を決める」という思想のもと、必ずしも特殊な架構技術に頼るのではなく、むしろ一般的な技術をいかに洗練させ、バランス良く美しいディテールとして解くか、そのプロセスと思考を解き明かします。 取り上げられるのは、国内外で高く評価される代表作41プロジェクト。それぞれの建築が持つ固有の課題に対し、構造家がどのように応答し、計画を練り上げていったのかを、豊富な写真、詳細なディテール図面、そして思考の過程が垣間見えるスケッチによって具体的に解説します。単なる事例紹介に留まらず、構造計画がいかにして建築空間の質、さらには建築全体の質を高めていくのか、その核心に触れることができます。構造設計者だけでなく、意匠設計者、施工者、そして建築を学ぶすべての人にとって、設計のヒントと深い洞察を与えてくれるでしょう。

概要

目次紹介:多様な構造種別に見るディテールの神髄

本書は、構造種別ごとに章立てされ、具体的なプロジェクトを通して接合部をはじめとするディテール設計の重要性と可能性を多角的に示します。

  • 第1章 鉄骨造とそのディテール: 工場建築の浮遊する大屋根(リーテム東京工場)、週末住宅のシャープな造形(桜山の住宅)、景勝に溶け込む美術館の回廊(福田美術館)、板状の梁が空間を仕切る小学校(伊那東小学校)など、鉄骨造の特性を活かした多様な表現とそのディテールを解説します。
  • 第2章 RC造とそのディテール: 大胆な吹抜けとスキップフロアを持つ住宅(内の家)、狭小地の免震構造(LAPIS)、水害対策としてのピロティを持つホール(三次市民ホール きりり)、自立壁と大庇による印象的なファサード(東京大学情報学環・福武ホール)など、RC造ならではの計画と工夫を詳解します。
  • 第3章 木造とそのディテール: 和小屋の雰囲気を持つ集会施設(藪原宿にぎわい広場 笑ん館)、光を効果的に取り込む礼拝空間(駿府教会)、地域材を活かした複合施設(塩尻市北部交流センター えんてらす)、象徴的な円形ホールを持つ交流センター(上士幌生涯学習センター わっか)など、木造の新たな可能性と温かみのあるディテールを探ります。
  • 第4章 ハイブリッド構造とそのディテール: 大空間を横切る浮遊感のある通路(遊水館)、緩やかに湾曲する大屋根の研修施設(南飛騨健康増進センター)、地場産材で覆われたコミュニティ施設(豊富定住支援センター ふらっときた)、多様な形態を短工期で実現したスタジアム(広島市民球場)など、複数構造を組み合わせる計画のポイントを解説します。
  • 第5章 耐震補強とそのディテール: 既存建築の価値を再生・向上させるための補強計画に焦点を当てます。現代建築のランドマーク化(浜松サーラ)、環境改善との一体的補強(黒松内中学校)、歴史的木造建築の保存と活用(自由学園女子部講堂)、帝冠様式庁舎の外観保存(北九州市立戸畑図書館)など、意匠と構造が融合した改修手法を紹介します。

これら具体的な事例を通して、構造ディテールがいかに建築の質を決定づけるかを深く理解できる構成となっています。