【環境・設備】照明に関するノート

一級建築士試験に出題される 照明 に関するノートです。


ヒント
  • 照明に用いられる測光量は人の目の感度に基づいている。
  • それぞれの測光量の関係を把握することが必要。
  • 照度計算もしばしば出題されるので、解法を習得しておく必要がある。

1. 眼の構造と分光視感効率

情報

1.1 錐体と桿体

項目説明
目の構造1. 眼球の構造とカメラの構造はよく似ている。
2. 光は瞳孔を通り目の中に照射する。
3.瞳孔の大きさを変えることによって入射する光の量を調整し、網膜上に結んだ像に視細胞が反応し物を見ることができる。
視細胞の種類1. 錐体(すいたい): 明るいところで働く(明所視)。
2. 桿体(かんたい): 暗いところで働く(暗所視)。

1.2 明所視と暗所視

項目説明
分光視感効率1. 目の構造では中心窩に多く分布している錐体と網膜上に広く分布する桿体では分光感度が異なる。
2. そのため 明所視 では555nmの波長に、 暗所視 では507nmに感度のピークをもつ。
比視感度曲線1. 人の目の感度は可視域(380~780nm)の両端で感度が低い。
2. 中央(明所視で555nm)では高い。
可視光の波長380~780nm
明順応・暗順応1. 暗所から明所へ移動し、目が慣れるのが明順応
2. 明所から暗所への暗順応より時間は短い。
明るさの感じ方1. 人が感じる明るさは、分光視感効率を考慮した測光量で表される。
2. 物体の放射エネルギーに、各波長の比視感度を考慮した明るさの量を 光束 といい、これがすべての測光量のもととなっている。

1.3 測光量の定義

測光量定義単位光束を用いた単位
???単位時間当たりに流れる光のエネルギー量lm (ルーメン)lm
???単位面積当たりの入射光束lx (ルクス)lm/㎡
???単位面積当たりの発散光束lm/㎡lm/㎡
???点光源からの単位立体角当たりの発散光束cd (カンデラ)lm・sr
???光束発散面のある方向への単位投影面積当たり、単位立体角当たりの光度cd/㎡lm/㎡・sr
  • 注: 立体角の単位sr(ステラジアン)

2. 照度計算及び計画

2.1 照度逆二乗則(点光源)

概要

点光源からの光度 II [cd] が一定である場合、その点光源から距離 rr [m] 離れた場所での照度 EE [lx] は、距離の二乗に反比例する。

E=Ir2E = \frac{I}{r^2}
  • EE: 照度 [lx]
  • II: 光度 [cd]
  • rr: 光源からの距離 [m]

2.2 入射角の余弦法則

概要

光束が照射面に対して傾いている場合、照度 EE [lx] は入射角 θ の余弦 (cos θ) に比例する。 点光源からの光度 II [cd] 、光源から測光点までの距離r [m]

E=Ir2cosθE = \frac{I}{r^2} \cos \theta
  • EE: 照度 [lx]
  • II: 光度 [cd]
  • rr: 光源からの距離 [m]
  • θ: 入射角

2.3 人工照明による平均照度

概要

室の平均照度 EE [lx] は、照明器具1灯の光束 FF [lm]、照明器具の灯数 NN、照明率 UU、保守率 MM を用いて、次の式で表される。また、A は室の床面積[㎡]である。

E=F×N×U×MAE = \frac{F \times N \times U \times M}{A}
  • EE: 室の平均照度 [lx]
  • FF: 照明器具1灯の光束 [lm]
  • NN: 照明器具の灯数
  • UU: 照明率
  • MM: 保守率
  • AA: 室の床面積 [㎡]

2.4 照明計画における Tips

ヒント
項目説明
サーカディアンリズム生体リズム。昼光や照明による光の影響は大きい。
明視の4条件①明るさ
②対象物と背景の輝度対比
③対象物の大きさ
④見る時間
全般照明室内を等しく照明し作業面の照度を一様に保つ照明方式。
局部照明作業場所や必要な場所を照明する方式で、集中作業には適するが、輝度比が大きく目が疲れやすい。
タスク・アンビエント照明全般照明と局部照明を併用する場合、全般照明の照度は局部照明の1/10以上にすることが望ましい。
視作業面の照度基準視作業面の照度基準がない場合、JISの基準では、床上80cm (JIS Z 9110 照明基準総則) 又は 85cm (JIS Z8113照明用語) の水平面の照度を示す。
配光人工光源は照明器具や建築に組み込まれており、それらを考慮した照明器具の光度分布を配光といい、ランプの上方と下方の光束の比率に基づいて配光分類されている。
モデリング立体物の見え方は、照明の質や方向が影響を与え、印象や立体感が大きく変化する。立体物が適切に見えるように照明を調節することをモデリングという。

3. 光源の種類

概要
光源色温度 (K)寿命 (h)効率 (lm/W)演色性 (Ra)備考
???2,8501,000~2,00015~20よい (100)演色性よく多用途に適す
???3,0002,00015.5~21よい (100)ダウンライト等に適す
???4,50010,00060~91比較的よい (白色 64)演色性が改善されている
???4,10012,00040~65ややよくない (44)ホール、工場、体育館等
???5,6009,00070~95よい (65)スポーツ施設等大空間
???2,10012,00095~149よくない (28)道路やガソリンスタンド
???4,20040,00090~120よい (70~90)小型、軽量、長寿命
ヒント
  • 色温度

    • 光源の光色をそれと近似する色度の光を放つ黒体の絶対温度で表したもの。