【環境・設備】換気に関するノート

一級建築士試験に出題される 換気 に関するノートです。


1. 換気の目的

換気とは、室内の汚染物質を排出し、清浄な空気を供給することを指します。適切な換気は、健康維持や快適な生活環境を確保するために不可欠です。

1.1 空気汚染と基準

室内空気は CO₂(炭酸ガス)NOₓ(窒素酸化物) によって汚染されます。以下の基準が設けられています。

評価項目許容値
温度17~28℃
湿度40~70%
気流0.5 m/s 以下
CO₂濃度1,000 ppm 以下(0.1%)
CO(一酸化炭素)10 ppm 以下(0.001%)
粉じん???
ホルムアルデヒド0.1 mg/m³ 以下
クロルピリホス原則として使用禁止
NO₂(二酸化窒素)0.04~0.06 ppm 以下

これらの基準を満たすため、すべての建築物には 機械換気設備の設置 が義務付けられています。

シックハウス対策

  • 建築基準法施行令により ホルムアルデヒド の発散を抑えるための規制がある。
  • JIS や JAS 規格で F☆(フォースター) の表示があり、
    • F☆☆☆☆: 使用制限なし
    • F☆☆☆: 使用制限あり
    • F☆☆: 限定的な使用
    • F☆: 使用禁止
  • 換気設備の設置が義務付けられている。

CO₂対策

  • CO₂濃度 1,000 ppm 以下を維持するために 1人当たり ??? の換気量が推奨される。

2. 換気の種類

換気方式は 機械換気自然換気 に大別されます。

2.1 機械換気の種類

機械換気は、送風機の設置位置によって以下の3種類に分類されます。

換気種別室内圧特徴と適用
第一種換気正圧/負圧送風機を???に設置。換気量を確実に制御可能。
第二種換気正圧送風機を???に設置。外気の流入を防ぐ。清浄度が必要な空間(手術室)向け。
第三種換気負圧送風機を???に設置。室内の汚染空気を確実に排出。トイレや厨房に適用。

2.2 自然換気の種類

自然換気は、風や温度差を利用して換気を行う方式です。

換気種別計算式説明
温度差換気
(重力換気)
Q=aA2gh(tito)ti+273Q = aA \sqrt{\frac{2 g h (t_i - t_o)}{t_i + 273}}室内外の温度差を利用して換気する方式。建物上部と下部に開口部を設ける。
風力換気Q=aAv(C1C2)Q = aA \, v \, (C_1 - C_2)風圧差を利用して換気する方式。建築物の形状や風向の影響を受ける。
  • 温度差換気(重力換気)の凡例

    • aAaA: 総合実効面積 (㎡)
    • gg: 重力加速度 (9.8 m/s²)
    • hh: 開口部の高さの差 (m)
    • tit_i: 室内温度 (℃)
    • tot_o: 屋外温度 (℃)
  • 風力換気の凡例

    • aAaA: 総合実効面積 (㎡)
    • vv: 風速 (m/s)
    • C1C_1: 風上側風圧係数
    • C2C_2: 風下側風圧係数

3. 必要換気量の計算

室内の汚染物質を許容値以下に抑えるために、必要換気量 QQ を求めます。

3.1 必要換気量 Q

Q=kPiPoQ = \frac{k}{P_i - P_o}
  • 凡例
    • kk: 汚染物質発生量 (m³/h)
    • PiP_i: 室内の許容濃度 (mg/m³)
    • PoP_o: 外気の濃度 (mg/m³)

水蒸気に対する換気量は次式で求められます。

Q=wρ(XiXo)Q = \frac{w}{\rho (X_i - X_o)}
  • 凡例
    • ww: 水蒸気発生量 (kg/h)
    • ρ\rho: 空気密度 (kg/m³)
    • XiX_i: 室内の絶対湿度 (kg/kg)
    • XoX_o: 外気の絶対湿度 (kg/kg)

3.2 換気回数 N

換気回数 NN は、室内空気が1時間に何回入れ替わるかを表します。

N=QVN = \frac{Q}{V}
  • 凡例
    • QQ: 必要換気量 (m³/h)
    • VV: 室容積 (m³)

一般的な住宅では ??? が推奨されます。

3.3 風量 Q と 総合実効面積 αA

風量 QQ を計算する際に、開口部の高さや風速を考慮する必要がある。

3.3.1 風量 ( Q ) の計算式

Q=α A2ρΔP(m3/s)Q = \alpha\ A \sqrt{\frac{2}{\rho} \Delta P} \quad \text{(\(\mathrm{m}^3/\mathrm{s}\))}
  • 凡例
    • QQ: 風量 (m3/s)(\mathrm{m}^3/\mathrm{s})
    • α A\alpha\ A: 相当開口面積 (m2)(\mathrm{m}^2)
    • α\alpha: 流量係数( 開口部の形状 によって変わる)
    • ρ\rho: 空気密度 (kg/m3)(\mathrm{kg}/\mathrm{m}^3)
    • ΔP\Delta P: 圧力差 (Pa)(\mathrm{Pa})

3.3.2 空気密度 ( ρ ) の計算式

ρ=353273+t(kg/m3)\rho = \frac{353}{273 + t} \quad \text{(kg/\(\mathrm{m}^3\))}
  • 凡例
    • ρ\rho: 空気密度 (kg/m3)(\mathrm{kg}/\mathrm{m}^3)
    • tt: 温度 (C)(^{\circ}\mathrm{C})

3.3.3 総合実効面積 αA

窓の並び方で総合実効面積 αAが異なります。

  1. 並列合成の計算式
α A=a1+a2\alpha\ A = a_1 + a_2
  1. 直列合成の計算式
α A=1(1a1)2+(1a2)2\alpha\ A = \frac{1}{\sqrt{\left(\frac{1}{a_1}\right)^2 + \left(\frac{1}{a_2}\right)^2}}
  • 並列合成は 開口部が並んでいる 場合に適用。
  • 直列合成は 開口部が連続している 場合に適用。

4 換気に関する用語

???
  • 室内の空気が入れ替わるまでの 平均時間 を指す。
  • 空気齢が 小さいほど 効率的な換気が行われている。
???
  • 室内のある点から排気口までの到達時間を示す。
  • 換気計画において 汚染物質の蓄積 を防ぐために重要。
???
  • 室内で外部圧力と同圧となる部分